血液内科・貧血外来

当院血液内科の特徴

  1. がん診療拠点病院勤務の血液内科専門医が予約なしで対応
  2. 基本的検査項目は当日30分以内に結果が判明
  3. 近隣の婦人科や消化器内科とも連携、適切な大学病院や総合病院に紹介可能

息切れやふらつきなど、ありふれた症状にも血液の病気は隠れています。軽い貧血や白血球が増えているなど検診で見つかっていても、大きな病院の受診をためらわれている方もいらっしゃいます。そうした方もお気軽にご相談ください。また、院長は抗がん剤や放射線治療を受けられた患者さんの長期的な合併症管理の専門外来をがん診療拠点病院で行っております。がん治療を受けられている方や治療後の方の慢性疾患の管理も対応させていただきます。既に他の医療機関で血液疾患と診断されている方の外来通院も病気によっては対応可能ですが、その際には主治医を通じて事前にご相談をお願い致します。

貧血について

厚生労働省による「令和元年国民健康・栄養調査報告」によると、男性の約10%、女性の約13%と10人に1人に貧血があるとされています。貧血により息切れや倦怠感、めまいに加えて爪の変化や異食症(氷を食べるなど)などの多彩な症状が出現します。貧血の状態が持続すると心臓に負担がかかり、むくみが出現することもあります。日本では先進国の中でも貧血の患者さんの割合が多いにも関わらず、85%以上が無治療とされ、年間で3兆円を超える過剰な医療費と1兆円を超える生産性の喪失を起こしていると推測されています。
女性では鉄分の不足が貧血の原因であることが多く、治療には鉄剤の内服が用いられます。血液検査によりフェリチンという、貯蔵されている鉄の量をモニタリングしながら薬剤の投与量や期間を設定します。充分に鉄分が補充されれば治療を中断、中止することも可能です。嘔気などの消化器症状の少ない内服薬や、長期に効果が持続する点滴製剤も使用できるようになりました。こうした最新の薬剤による治療経験も豊富ですので、治療を中断してしまった方もお気軽にご相談ください。
鉄分の不足以外にも貧血を来す原因は多数存在します。特に白血球や血小板の異常を伴う場合や急速に進行する場合には、血液疾患についての評価が必要です。
当院では血液検査により貧血の状態を30分から1時間程度で当日確認できます。また、血液内科専門医が在籍しており、鉄欠乏以外の血液疾患についても評価可能です。更なる精密検査や専門的治療が必要な場合には、対応可能な医療機関を紹介いたします。

※参考文献
令和元年国民健康・栄養調査報告
J Med Econ. 2023; 26: 1386-1397

多血症について

多血症は血液中の赤血球が増加している状態です。頭痛やめまいなどの症状を認めることもありますが、健康診断で血液が濃いと指摘される無症状の方も多くいらっしゃいます。遺伝子異常による一次性の多血症 (骨髄増殖性腫瘍)と喫煙や睡眠時無呼吸症候群が原因となる二次性の多血症とがあります。特に前者は脳梗塞など血栓症との関連も指摘されており、早期に正確な診断とリスクに応じた治療を行う必要があります。また、後者では合併する生活習慣病や睡眠時無呼吸症候群の管理が重要になります。
当院では診断に必要な遺伝子変異解析などの専門的検査や耳鼻科と共同で睡眠時無呼吸症候群の評価・治療も行えます。症状がある方はもちろん健康診断で異常を指摘された方もお気軽に受診ください。

※参考文献
Curr Hematol Malig Rep. 2022 Oct;17(5):155-169.

M蛋白について

検診などでM蛋白の疑いを指摘されることがあります。本来抗体を作る血液の細胞である形質細胞に異常が生じることで、異常な役立たずの抗体が作られます。この抗体をM蛋白といいます。
形質細胞ががん化する多発性骨髄腫という病気ではM蛋白が蓄積され、貧血や腎障害、骨折などの症状が出現します。M蛋白は多発性骨髄腫の前段階や原発性マクログロブリン血症などの類縁疾患、悪性リンパ腫などでも認められ、腎障害やしびれの原因となることがあります。一方で、M蛋白を認めても10年以上治療を要さず、定期的な血液検査による経過観察で十分なこともあります。このように非常に幅広い疾患群を含んでいるため、無症状であっても一度専門外来の受診が必要です。

こんな症状が見られたらご受診ください

  • 健診で血液の異常値を指摘された
  • 息切れしやすくなった
  • ちょっとした出血でもなかなか血が止まらない
  • 覚えのないあざや内出血ができやすい
  • 氷を食べてしまう
など