睡眠時無呼吸症候群について

睡眠中に気道が塞がることで、いびきをかく、無呼吸になってしまう病気です。無呼吸とは、気道が10秒以上塞がり空気が流れない状態を言い、これが一晩で30回以上、または1時間に5回以上起こると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。日本ではおよそ200万人の患者さんがいるといわれていますが、きちんと治療を受けている方は少数です。
血液中の酸素が減ることにより放置しておくと脳卒中や心筋梗塞など重篤な疾患の危険も高まることがわかっています。最近ではコロナウィルスに感染するリスクが8倍になるという報告もあります。

睡眠時無呼吸症候群の症状

よく知られている症状としてはいびきがあります。ご家族や周囲の方から指摘されてはじめて気づくことがほとんどです。夜間の睡眠中によく目が覚めたり、トイレに何度も行ったりすることもあります。また、睡眠の質が低下するため目覚めが悪い、起床時に頭痛がする、日中の眠気が強いなどの症状もよく見られます。

睡眠時無呼吸症候群の原因

主な原因として、肥満や飲酒などの生活習慣によるものや、下あごが小さい方であれば舌の根本が落ち込み気道を狭めることもあります。その他に体格的な特徴として首が短い方や首まわりに脂肪がついている方、歯並びが悪い方もなりやすいといわれます。

主な治療法

肥満が原因となっている方はまず生活習慣の改善から始めます。減量や飲酒量を減らすことが重要です。普段仰向けに寝ている方は横向きに寝るだけでもいびきが軽減することがあります。軽症の方の場合はマウスピースを併用することもあります。

中等症以上の方は上記の治療のみでは効果が薄いため、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)が選択されます。睡眠時に専用のマスクを鼻や口に装着し、適切に加圧した空気で持続的に陽圧(内部の圧力が外部より高い状態)をかけ上気道の閉塞した部位を押し広げることにより睡眠時の無呼吸・低呼吸やいびきを軽減させる治療法です。有効性・安全性が高く、世界でも普及しています。ほとんどの患者さんは、治療を開始した日から睡眠中の無呼吸状態が改善します。朝もすっきりと目覚め、昼間の眠気も軽くなります。