生活習慣病外来
生活習慣病について
高血圧
診察室での血圧測定により最高血圧が140mmHg以上、あるいは最低血圧が90mmHg以上であれば、高血圧と診断されます。
本来血管の壁は弾力性がありますが、高い圧がかかり続けると次第に厚く硬くなります。この動脈硬化の進行により脳出血や脳梗塞、心筋梗塞、心不全などの発症につながります。
これらの合併症の予防のためには、適切な血圧コントロールの維持が必要です。
一般的に脳梗塞などの合併症発症や死亡リスクの軽減には最高血圧130mmHg、最低血圧80mmHg以下を目指します。
年齢や他の生活習慣病の有無などに応じて個別に治療の目標を設定します。
食事療法により5mmHg、減量により5mmHg、運動療法により4mmHgの血圧の低下が期待できるという報告があります。
収縮期血圧120-129mmHg、拡張期血圧80-89mmHgの前高血圧症でも脳梗塞リスクになるため、これらの生活改善が重要です。
薬物療法は他の合併症の有無や血圧の変動パターンに応じて、種類や用量を選択します。
睡眠時無呼吸症候群の方はその後4年の高血圧症の発症リスクが1.4~2.9倍になり、薬物治療に抵抗性の高血圧症に高頻度に合併していることが分かっています。こうした方では薬物治療だけではなく、睡眠時無呼吸症候群の治療も重要になります。
当院では腎臓の機能やミネラル分など高血圧症の治療に重要な血液検査の結果が30分程度で確認可能です。
また、睡眠時無呼吸症候群の診療にも力を入れています。
検診などで血圧を指摘された方や転居などで治療を中断されている方はお気軽にご相談ください。
参考文献
Neurology. 2014; 82: 1153-1161
高血圧治療ガイドライン2019
J Hypertens. 2024; 42: 23–49.
N Engl J Med. 2000; 342: 1378-1384.
糖尿病
糖尿病の患者様では血糖値が高い状態が続くことで動脈硬化が進行し、心臓の血管が詰まる心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の発症が2~4倍、認知症の発症も1.7倍になると報告されています。血糖値の指標であるHbA1cは過去数カ月の血糖値を反映しておりますが、HbA1cが1%増加すると心臓の冠動脈疾患の発症が13%、命に係わる心筋梗塞の発症が16%増加します。その他にもしびれや眼の病気、腎臓病の発症にも関与しています。したがって、早期から血糖コントロールを充分に行うことで、こうした合併症の発症を抑制することが重要になります。
血糖値を下げるには食事・運動療法(生活改善)、薬物療法が行われます。しかしながら、過度の食事制限は筋力低下や骨粗しょう症のリスクになり、血糖コントロールが不十分な状態での運動は目の合併症を悪化させることがあります。したがって、患者さんの状態に応じて目標を設定して取り組む必要があります。運動療法は有酸素運動、筋力トレーニング、バランス運動を組み合わせて行います。普段仕事などで時間が取れない方では、毎日10分、1,000歩から運動量を増やすことをおすすめしています。
薬物療法については個人の状態や安全性、合併症に応じて治療薬を選択します。最近は血糖値を低下させるだけでなく、体重の減少や心臓や脳、腎臓を保護するような薬剤も使えるようになりました。一方で、薬同士の相互作用や感染症などの副作用、心臓や腎臓の機能に応じた投与方法など、一人一人に合った対応が求められます。当院ではHbA1cや腎臓の機能、感染症のマーカーであるCRPなどを当日測定することが可能であり、患者様の治療をきめ細かにサポートいたします。
参考文献
Diabetologica.2008; 51: 573-582.
Neurology. 2011; 77: 1126-1134.
Ann Intern Med. 2004; 141: 421-431
脂質異常症(高脂血症)
一般的に脂質の指標とされるコレステロールは心筋梗塞、中性脂肪狭心症、突然死などと相関するとされています。脂質異常症(高脂血症)は悪玉コレステロールであるLDL-コレステロールであれば140mg/dL以上、中性脂肪であれば空腹時に150mg/dL、それ以外では175mg/dL以上を基準とされています。
治療方針についてはコレステロールの数値のみで判断せず、年齢や性別、心筋梗塞や糖尿病など他の病気をお持ちかどうかなどの情報をもとに過去の疫学研究のデータと照らし合わせて判断します。どなたでも可能な範囲での食事・運動療法は推奨されますが、同じコレステロールの値でも薬物療法が必要な方と不要な方がいらっしゃいます。近年使用できる薬も増えてきておりますが、それぞれ効果や副作用も異なりますので、ライフスタイルやお仕事に合わせておすすめさせていただきます。また、脂質異常症の方の中には家族性高コレステロール血症の方が一定数含まれています。こうした方では10代のころから高コレステロール血症による動脈硬化が進行しており、比較的若年でも心筋梗塞など心疾患を発症することがあります。そのため、早期のリスク評価が重要になります。
当クリニックでは最新の知見に基づいた過不足なく持続可能な治療を目指します。心筋梗塞や脳梗塞のリスクとなる多血症や、耳鼻科とも連携して睡眠時無呼吸症候群についても対応いたします。コレステロール、中性脂肪の血液検査や家族性高コレステロール血症の診断に用いるレントゲン検査も当日結果説明可能です。予約なしでの直接来院に加えて、Webでも当日順番受付ができますのでご利用ください。
参考文献
Arherosclerosis. 2014; 237: 361-368
日本動脈硬化学会(編):動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイドライン2023年版, 日本動脈硬化学会, 2023
日本動脈硬化学会(編):家族性高コレステロール血症診療ガイドライン2022年版, 日本動脈硬化学会, 2023
高尿酸血症(痛風)
血液中に含まれる尿酸の濃度を数値化したものを尿酸値と言い、この数値が7.0mg/dl以上と判定されると高尿酸血症と診断されます。尿酸は水に溶けにくい性質で、高尿酸血症の状態になると結晶化するようになります。尿酸の結晶は長い針のような形状をしており、足の親指の付け根などにたまると炎症が生じ、激しい痛みなどの症状が現れます。これを一般的に「痛風」と呼びます。
生活習慣病の
予防と治療
疾患がある程度進行してしまっている場合は薬物療法が必要ですが、初期や予防の段階では生活習慣の改善が非常に重要です。具体的には塩分や油分を控えめにバランスの良い食事にする、飲酒量を減らす、適度な運動を継続的に行うなどがあります。
治療法については進行度合いや患者さんのライフスタイルなども考慮の上、検討していきます。気になることや不安なことなどあればお気軽にご相談ください。